亡夫を偲ぶ、一棹の帳箪笥を囲んで:事例11
ご主人のご実家にあった帳箪笥(帳場箪笥)の修理のご依頼。
12才でお父様を亡くされたというご依頼主の義父様。
稼業を若い頃からお手伝いされてこられ
「ばあさんがそこに商売の帳面やらを入れていた」と言うのがご依頼いただいた帳箪笥です。
ご依頼主様のご主人(ご主人は義父様にとってはご長男)が、今年お亡くなりになり
義父様も気落ちしておられる・・・にもかかわらず、ご依頼主様を随分と気遣って下さる。
そんな義父様に少しでも喜んでもらいたいとのことで修理のご依頼をいただきました。
修理を終えた箪笥を目にされた義父様
”「懐かしいなあ~。ばあさん(義父の祖母)が使ってたんや。「ちょうだんす」と呼んでたわ。
こんなにきれいにしてくれてありがとう。
75年前に火事になった時も、これは持ち出したんやったと思うわ。」”
ご依頼主様から「大変喜んでもらえました」とご連絡いただきました。
ご依頼主様から頂いたメッセージ
”来月の主人の1周忌に、義父の姉や弟が集まるので、箪笥を見てもらったら
また伯母が色々思いだすのではないかと思います。
和室に飾ろうと思います。義父も何入れるか?と言っていました。
今年は辛い年でしたが・・・
主人を亡くした私を随分と気遣ってくれる義父に(自身も息子を亡くして気落ちしているのに)
少しでも喜んでもらいたいと思っていたのでよかったです。
ありがとうございました。”
頂いたメッセージから
私たちの仕事は単に修理することだけではなく
修理を通して
ご家族の絆や想いも美しく繋いでゆく
そう言う仕事になっている
改めて実感させていただきました。
ご依頼いただきありがとうございました。