古箪笥 再生・修復(修理):事例4 欅の玉杢が蘇る
自宅を改築されるお客様から
「古い箪笥があるんだけど、綺麗になるかな。家を直すので処分しようかと思ったけど・・・」
と 相談を受け、一度拝見する事に。
「だいぶ、汚れてるな・・・」と思いながら正面の戸や抽斗(ひきだし)の鏡板をよく見ると
杢板が使ってあります。外して裏側を見てビックリ。
ケヤキの玉杢です。
木仙人:「これはスゴイ板が使ってあります。ケヤキの玉杢です。」
お客様:「捨てようかと思ってたんです。見てもらって良かった。」
木仙人:「今から捨てに行って下さい。直ぐに私が拾いに行きますから(笑)」
即、修理に決定。
側面や内部もかなり汚れていました。(ここは、お客様の手前写真の記載は控えます)
鏡板以外はヒノキが使ってあり、側面や天板など幅の広い一枚の板で組上げられていました。
おそらく地元の良材で作られた箪笥なのでしょう。
天板と内部の板は汚れや割れがひどいので、取り替えることにしました。
但し、同じように板を組むと、昨今の気密性の高い空調の効いた室内では
板のソリや割れが必ず起こります。
板の縮みを想定した組立が必要です。
幅の狭い板を重ねる様に並べます。
合わせ目はそれぞれ厚みの半分を削り
重ね合わせます。
計算上では、ひどく乾燥が進んだ場合でも
2mmまでの隙間で収まるはず。
内部の棚板も同様に修理。
塗装は、玉杢を強調する様な仕上げを選びました。
では、after ご覧下さい。
(ガラスに撮影している私が映ってしまいました(汗))
この仕上がりはお客様も想定外だった様で、大層お喜びいただきました。
詳しいお話を聴くと、ご主人のお母様が嫁入りの際に持ってこられたもので
大切にされていたそうです。
丁度、納品の際、ご主人のお姉さまが帰省されておられ
「懐かしいね」とおっしゃた言葉が印象的でした。
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上記修理費用